ゴム紐(ゴムひも)の黄変・黄着について

保存中の晒色(白色)・生成色・淡色のゴム紐ゴムひも)の黄変には、繊維(・フィルム)自身が直射日光や空気等の影響で黄変するもの(毛、絹、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン等)の他に、いろいろな原因で黄変・黄着するものがあります。

(濃色で染色されたゴム紐の場合は、黄変していても、その色の変化が分からない場合が多いです。)

この場合、ゴム紐の表面の全面に変色するわけではなく、部分的に斑模様に、薄いレモン色のような薄黄色に変色する場合が多いです。

ゴム紐の糸の表面が黄変横着したからといって、物性的には、それほど変化はありません。ただし、見た目が非常に悪いし、極薄の生地を使用した洋服の場合は、ゴム紐の色が透けて見えるので大問題となります。)

ゴム紐黄変・黄着の多くは、様々な原因や要因が複合相互作用して発生しているものだと思われます。

要因としては、

① 蛍光増白剤や仕上加工剤
② 汚染した大気やガス類
③ 紙やダンボール(特にリサイクル品)に含まれるリグニン分解物(バニリン
④ 繊維や包装フィルムやビニル袋の酸化防止剤(B.H.T:ブチル・ヒドロキシ・トルエン等)
⑤ 天然ゴム等の加硫促進剤や老化(劣化)防止剤等の添加剤

が、考えられ、これらの要因に、さらに、光、熱、水分が加わると、黄変がさらに促進されます。

蛍光増白剤では、直接染料型、酸性染料型の多くは、光、熱、大気汚染ガスで黄変しやすく、その量が多いほど黄変します。

ゴム紐ゴムひも)の精練・仕上工程に使用される、精練仕上加工剤、柔軟剤の多くはアルカリ加工剤で、添加物(老化防止剤等)が、汚染した空気(NOx,SOx)、光、熱、水分等の影響で酸化され、アルカリ性加工剤が(洗浄しきれずに)残留しているゴム紐の繊維の表面で発色します。

たいていの黄変は、空気と触れる部分に多く発生していますが、これは、汚染した空気が大きく作用していると思われます。

また、紙、ダンボールには、リグニン分解物のバニリンが含まれており、このバニリンが昇華し、繊維上で黄色になります。高温、高湿でその進行が促進されます。

包装用フィルム袋(ポリエチレン、ポリプロピレン製)のほとんどに抗酸化剤が含まれています。酸化防止剤としては、一般的にB.H.T(ブチル・ヒドロキシ・トルエン)が広く用いられていて、保存中の環境条件によって昇華し繊維を黄変させます。

B.H.Tは無色で、繊維製品が酸性モードであれば黄変しにくいです。

また、天然ゴム類製造中に添加される加硫促進剤、老化防止剤その他の添加物の中には、熱、水分、汚染ガス等の影響で昇華し、繊維製品上に移動発色(黄着)するものもあります。(天然ゴム糸使用のゴム紐の場合)

これらを防止するには、(なかなか簡単ではありませんが、)現実面での対策としては、

Ⅰ 保存する部屋の空気の換気を良くする
Ⅱ 製造工程中に、繊維その他に付着している油剤等(帯電防止剤や柔軟剤)の除去のための精練(ソーピング)を徹底する。 (高温の温水にて洗浄。超音波発生器を使用する。精練剤の使用。しっかりと水道水ですすぎをする。)
Ⅲ 水分(湿気)、熱(高温)、排ガス等が滞留しない場所での保存をする。
Ⅳ 長期間の保存を避ける。(基本的に作りすぎないこと)
Ⅴ 石油ストーブや石油ファンヒーター等の(排ガスの出る)暖房装置を使用している場合は、その環境を改善する。(窒素酸化物や硫黄酸化物のガスが出ないようにする:エアコンや電気ストーブなどの暖房装置を使用すること)
Ⅵ 極薄の酸性モードで仕上加工を施す。(希釈した極薄い有機酸水で仕上加工をする。)

などが考えられますが、現在、繊維製品の黄変事故はいろいろな要因が複合的に作用する結果発生するので、良い解決法はなかなかありません。

基本的に、ゴム紐の保存方法の記事の中でも掲載しましたが、ゴム紐は、常温の乾燥した冷暗所で(空気をしっかり出して、)ビニル袋にしっかり密閉して、直射日光が当たらないようにすることが重要です。(ダンボール箱、紙などの包装資材も再生回数の多くない資材を使用するのがベターです。)

また、このような種類のゴム紐黄変は、再度洗濯・乾燥をしたり、強い直射日光に暴露することで、黄変が除去出来る場合もあります。