ウーリースピンテープ（Woolly spin tape）について専門家が説明します

ウーリースピンテープとは何ですか？

ウーリースピンテープとは、もっとも簡単に言うと、合成繊維のウーリー糸を使用したスピンテープです。

もう少し分かりやすく説明すると、ウーリースピンテープとは、羊毛（wool）のように高捲縮でふわふわしているウーリー糸を使用して、製紐機で組糸のみで作られた伸縮性のある細幅のスピンテープです。

高捲縮（高伸縮）のウーリーナイロン糸やウーリーポリエステル糸を使用して製紐機で組んで製造する衣料用繊維副資材で、セーターやトレーナーなどのニット製品の洋服の伸び止めテープ（補強テープ）として使用されます。

ニット製品は、伸びが大きいので、ウーリースピンテープを伸び止めテープに使用します。

ニット製品は、編んであるので、織物とは違い、構造上、数十パーセント程度伸びます。

そのため、約40％程度伸びるウーリースピンテープを伸び止めテープとして使用します。

ウーリースピンテープは、天然ゴム糸やポリウレタン弾性糸などの弾性糸を使用せず、ウーリーナイロン糸やウーリーポリエステル糸のような長繊維の糸のみで組んだスピンテープの１種です。

ウーリースピンテープの幅は、約6～8ミリ幅のものが多いです。

（素材は、ナイロン100％、または、ポリエステル100％となります。）

スピンテープは、製紐機で組糸のみで作られた細幅のテープです。

文庫本の栞（しおり）などに使用されます。

スピンテープの材料の糸をフィラメント糸ではなくウーリー糸を使用したものが、ウーリースピンテープです。

綾竹コード（綾竹テープ）とは？

製紐機でスピンテープに、フィラメント糸等を使用して、経方向に芯糸も入れると、綾竹コード、綾竹テープ（あやたけてーぷ）となります。

綾竹コード（綾竹テープ）の用途は？

綾竹コード（綾竹テープ）は、掛け軸の吊り紐、巻紐に使用されます。

洋服では、セーラー服のセーラーテープ（セーラーライン）等に使用されます。

ウーリースピンテープの英語表記は？

「ウーリースピンテープ」の英語表記は、Woolly spin tapeとなります。

woolyとは？

wooly （ウーリー）とは加工法の名称として使われており、合成繊維に、羊毛に似た感触や弾力、風合いなどを与え、伸縮性や保温性、ふくらみを与える加工法を指します。

ウーリースピンテープの名前の由来は？

ウーリースピンテープは、その名の如く、高捲縮のナイロンやポリエステルのウーリー糸を使用して製造した「スピンテープ」という意味です。

6コールや8コールの製紐機を使用して、芯糸を使わずに側糸（組糸）のみを斜めに走らせて組んだ（作り上げた）テープです。

高捲縮のウーリー糸を使用しているのでふわふわ感と厚みがあり、斜めに糸が走っているので、引っ張ると、（幅は少し狭くなりますが）4割程度伸びます。

名称としては、省略して、「ウーリースピン」と呼ぶ方もいます。

ウーリースピンテープの用途・使い方は？

ウーリースピンテープの用途や使い道は、主に、セーターやトレーナーなどのニット製品の肩の縫い目、裾や袖口の縫い目に伸び止め防止用として使用されます。

その理由は、ウーリー糸の使用と、製紐で斜めに組まれている構造のため、伸度が約1.4倍あるからです。（ゴム糸などの弾性糸は入っていないので、キックバックの力（戻る力）は、ほとんどありません）

主として、繊維製品（特に、伸びの大きいニット製品）の縫い目補強テープとして使われます。

上の画像は、ウーリースピンテープのサンプル拡大画像です。

ウーリースピンテープは、本来は洋服を生産する時の繊維副資材です。

幅は、約6ミリ、8ミリの製品がほとんどです。

カラー展開は、生成色、晒色、黒色などがあります。

カラー展開しているものもあります。

伸度は、約1.4倍です。

製紐機で作った組紐なので組糸が斜めに走っていて、もともと引っ張ると幅が狭くなって少しだけ伸びる性質があります。さらに糸密度を荒くして、高捲縮のウーリー糸を使用することで、ゴム糸のない繊維製品でこれだけの大きな伸びを出します。

（引っ張った後は、キックバック力（戻る力）がありませんので長時間かけてゆっくりと形状回復します。）

製紐機で生産しているので、引っ張ると幅が狭くなります。

ウーリースピンテープは、テープの中で、糸が斜めに走っているので、引っ張られると幅は少し狭くなりますが、伸びが出ます。

エラストレインとは？

ウーリースピンテープの同等品としては、高捲縮のウーリー糸を使用して経編機で製造するエラストレインという製品があります。

こちらもニット製品の伸び止め補強テープです。

ウーリースピンテープとエラストレインの違いは？

ウーリースピンテープもエラストレインもニット製品の伸び止めテープです。（用途は同じです）

使用する原材料の糸は、高捲縮のナイロン糸で同じです。

但し、生産機械と組織は違います。

ウーリースピンテープ　：製紐機で生産　（引っ張ると幅が細くなります）

エラストレイン　　　　：経編機で生産　（引っ張っても幅は変わりません）

コスト的には、ウーリースピンテープの方が割安です。

ウーリースピンテープには、弾性糸（ゴム糸）が入っていません

（注）ウーリースピンテープには、天然ゴム糸やポリウレタンなどの弾性糸が入っていないので、高捲縮の糸の伸びと斜めに組んでいる効果だけで約40%程度の少量の伸びが発生し、戻りの力（キックバック力）がほとんどなく、マスクゴムの代用として使用するには、（締め付けの力が弱いので）マスクの重量が重いとマスクの基布の密着力に物足りなさを感じると思います。

ウーリースピンテープは、通常、マスクゴムとしての使用は不可能です。

あくまでも、マスクゴムがない時の代用品です。

（エラストレインには、ポリウレタン弾性糸入りタイプの製品もあります）

まとめ

マスクゴムの代用としてウーリースピンテープは使用できません。

ウーリースピンテープは、セーターやトレーナーなどのニット製品の肩や袖口に使用する伸び止め補強テープです。

ウーリー糸とは？

ウーリー糸は、羊毛（wool：ウール）のような風合いや感触となるのでウーリー糸と呼ばれています。

長繊維の糸でありながら、フィラメント糸とは違い、ふわふわ感のある糸となるので、伸縮性（ほんの少しです）や保温性があり、軽量性を持たせた嵩高加工糸（かさだかかこうし）の１つです。

現在は、仮撚機（かりよりき）で1工程での加工法が開発され生産性は飛躍的に向上しました。

スピンテープとは？

スピンテープは、製紐機で斜め方向に組まれた平紐です。

スピンテープの使い方は？

光沢があり、伸縮性の無いフィラメント糸を使用して作られるもので、本の栞（しおり）などに良く使用されます。

（織テープや編テープに比べるとコストが安価である等の理由があると思われます。）

幅は、約3～4ミリ程度です。

ふわふわ感のあるウーリー糸を使用して製造されるスピンテープは、ウーリースピンテープと呼ばれます。

上の画像は、本のしおりとして使用されているスピンテープの例です。

上の画像は、本の栞として使用されているスピンテープの拡大図です。

製紐機で組まれているので、糸が斜め方向に交互に走っています。

先端部は、ハサミカットなので、少しホツレて斜めに広がっています。

伸び止め補強テープとは？

平織り生地を少し角度をつけて（5度～45度）斜めにして、細くスリットしてテープ状にしたものです。

斜めにすることで、テープに少し伸びが出て表生地が伸びて破れたりするのを補強します。

（バイアステープとも言います。通常は生地を45°傾けて（正バイアス）テープを作り、それを使用するからです。少しだけ伸びます。）

ウーリースピンテープのことなら、何でも気軽にご相談ください。

お待ちしています。

伸び止めテープ、ウーリースピンテープ、エラストレイン、綾テープ、バイアステープの関係、違いは？

伸び止めテープ　⊇　ウーリースピンテープ、エラストレイン、綾テープ、バイアステープ

組織（生産機械）の違い

ウーリースピンテープ：組紐の組織

エラストレイン：経編組織

綾テープ、バイアステープ：織組織

主な用途の違い

ウーリースピンテープ、エラストレイン：ニット製品の伸び止めテープ

綾テープ：伸びない織り生地の縫い目補強テープ

バイアステープ：布生地の縁のパイピングテープ

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この記事は、㈲津田産業直販部社員で、セミリタイアおじさんの越野勤が書きました。