編ゴム(編みゴム)とは何ですか?
編ゴム(編みゴム)とは、ラッセリーナやコメット等の経編機を使用して、経糸の中に等間隔にDCY(ダブルカバードヤーン)という横巻ゴムを入れて経糸を編みあげて緯糸(表と裏に2本)を入れて製作する平断面のゴム紐(平ゴム)です。
編ゴムの読み方は?
編ゴム(編みゴム)の読み方は、「あみごむ」です。
生産業者の中では、コメットゴム、ラッセルゴムという場合もあります。
(尚、一部の製品では、横巻ゴムを材料として使用せず、弾性糸を糸を巻かずにそのままベア(裸)で使用する場合もあります。)
編ゴムの厚みは、一般的に織ゴムと比べると薄いのが特徴で、編ゴムを経方向に思い切り引っ張るとガーゼのように向こう側の景色が透けて見える物がほとんどです。
編ゴムが経て方向に伸びるのは(基本的には)経糸と弾性糸(ゴム糸)のほぼ同本数を交互に配置し、設定した伸度で伸張した状態で経糸を編んで、そこに緯糸を入れて経編機上で編み上げて、その後フリーにして縮ませることで伸びのある編ゴムとなります。
伸びは、設定や規格により経編機上で自由に設定できますが、衣料用の場合、約2.3倍~2.5倍が一般的です。
編ゴムの幅・サイズは?
編ゴム(編みゴム)の幅は、約5ミリ~約200ミリ程度です。
もっとも、数ミリ幅のマスクゴムから、200ミリ幅までのさまざまなサイズ(幅)展開があるのが編ゴムです。
編ゴムは、厚みが薄いので、用途としては、細幅の場合、春夏の洋服や下着などのシャーリングテープ(shirring tape:洋裁で,細かいギャザーを寄せて模様や変化を出すこと)としての用途で多く使用されます。
また、ある程度の広幅の場合(ストレッチインサイドベルトの場合)は、春夏物のボトムスのウエストやジャケットの袖口や裾部分に使用されます。
上の画像は編ゴム(編みゴム)のサンプルの拡大画像です。
編ゴムとゴム紐、平ゴムの関係は?
上の画像は、ゴム紐(ゴムひも)分類表です。
この中の②のオレンジ色の部分が、編ゴムです。
ゴム紐(ゴムひも)が一番の大集合です。
その中に平ゴムが含まれ平ゴムの中に編ゴムが含まれます。
まとめて説明すると
ゴム紐(ゴムひも) ⊇ 平ゴム ⊇ 編ゴム となります。
これを集合の説明図で描くと以下のようになります。
編ゴムの用途・使い道と特徴
用途・使い道としては、一般的には、カジュアルな洋服のウエストに使用されるストレッチインサイドベルト・ウエストゴム(洋服の中に入れて縫い込みます)や袖口や裾に使用するストレッチテープ、下着用(表に出ているので編ゴムそのものとして使用されます。)また、マスクゴム、フェイスシールド、マウスシールド、手術着、防護服等の医療用や、洋裁や手芸用などに使われます。
編ゴム(編みゴム)の特徴としては、1番目は、速乾性です。
同じ幅の織ゴムに比べると短時間での乾燥が可能です。
その理由は、編ゴムを全伸長まで思い切り引っ張ると、編ゴムの場合は、包帯やガーゼのように透けて遠くの景色が見えるようになります。
その通気性の良さゆえに乾燥しやすいのです。(もちろん、編ゴムは、織ゴムに比べると目付が軽い、厚みが薄い場合が多いです。)
編ゴムの、2番目の特徴としては、常に表面と裏面の編組織が違うことです。
(織ゴムの場合は、もっとも基本的な、ムシロ織りやハカタ織りの場合は、表面も裏面も全く同じ織組織です。例外としては、カジュアルゴムがあります。カジュアルゴムは片面が綾織りの物が多いです)
編ゴムの、3番目の特徴としては、思い切り引っ張っても、幅が変わらないということです。
そして、その特徴から、編ゴムの設定伸度を2.5倍以上に設計し、太い緯糸を使用して生産して作ったインサイドベルトタイプの編ゴムは、ウエスト部分のインゴム使いとした場合、捻じれや中折れしにくいという特徴があります。
編ゴム(編みゴム)は、経編機で経糸でループを作りながらを編んでいくので、編ゴムの経糸を解くと、(製品の長さと比べると)長さが約10倍となります。(織ゴムの場合は、設定伸度に比例して約3倍の長さです。)
また、同じ伸び・パワーの織ゴムに比べるとコストは、多少安くなる場合が多いです。
それは、織ゴムでは、ニードル織機の場合は、1台の織機に掛けられる幅や掛本数には機台によって制限があります。(2本掛、4本掛、6本掛等)が、編機の場合は、ゲージの部分(約50㎝)の中に(ほぼ同じ幅の編ゴムを掛けるのであれば)自由な場所に掛けることが可能で、5ミリ幅程度の編ゴムを掛けるのであれば、1台の経編機に20本以上の編ゴムを同時に生産することが可能です。
編ゴムのデメリットとしては、(鋭い刃物や針、フック状の金属製品等で引っ掛けてしまった場合、)経糸が、とてもホツレ易いということです。ホツレてしまうと連続的に経方向にホツレてしまいます。
したがって、表使いにはあまり向いていません。
対策としては、ナイロン製のウェルダー糸(融ける糸)を使用して熱セット(仕上げ工程)で融かして固めてホツレさせないようにすることです。
また、カットする場合は、ヒートカットすること(しっかり溶かして固めること)をおすすめします。
(または、ハサミカット後にハンダごて等の電熱ヒーターを当てることにて、先端部をしっかり焼き固める(溶かし固める)という方法もあります。
(但し茶色の焦げ目が付きます)縫製工程では、全幅にてしっかりと返し縫いをしてください。(「Z」や「W」の文字のように)
編ゴムの英語表記について
輸出の場合に書類に書く必要があるので編ゴムの英語表記について、一般的な英文名を掲載します。
ポリエステル/ポリウレタン :Polyester And Polyurethane Elastic Knitting Tape
編ゴムの製造方法
上の動画は、経編機(ラッセリーナ)で編ゴムを製造している様子です。
上の動画は、経編機(ラッセリーナ)を手回しでゆっくりと動かして経糸を編む様子です。
(経編機の編み方の様子が分かります。)
上の画像は経編機(ラッセリーナ)の写真です。
編ゴムにもいろんな種類の編ゴムがあります。
以下に紹介いたします。
編ゴムの種類について
ストレッチインサイドベルト(編みタイプ:編ゴム)
編みタイプのストレッチインサイドベルトの特徴は、織りタイプに比べて厚みが薄いことと、通気性が良くて、速乾性に優れていることです。
また、生産性が良いので、織りタイプに比べると、編機1台に掛ける掛本数が多く、緯密度も一般的に大きいので単位時間当たりの生産量が多く、コスト的にも多少安価にての販売が可能です。
カラー展開は、生成色と黒色の2色です。
サイズ展開は、15ミリから40ミリ幅くらいが一般的です。
TXシリーズ 高品質・高耐久性の編ゴム 天然ゴム糸使用
TXシリーズの編ゴムは、天然ゴム糸使用で、太めの緯糸を使用して、(特殊な規格と特殊な編み方で)編んだ高品質・高耐久性の編ゴムです。
インゴムとしてウエスト部分に使用した場合、ねじれや中折れしにくい平ゴムです。
伸度は、約2.7倍と大きいので、ソフトなパワーで優しくホールドするので、痛くなったり痒くなったりしません。
TYシリーズ 高品質・高耐久性の編ゴム ポリウレタン弾性糸使用
TYシリーズの編ゴムは、ポリウレタン弾性糸使用で、太めの緯糸を使用して、(特殊な規格と特殊な編み方で)編んだ高品質・高耐久性の編ゴムです。
インゴムとしてウエスト部分に使用した場合、ねじれや中折れしにくい平ゴムです。
伸度は、約2.7倍と大きいので、ソフトなパワーで優しくホールドするので、痛くなったり痒くなったりしません。
マスクゴム(編ゴムタイプ)
編みタイプのマスクゴムは、コールゴムに比べると、通気性に優れています。
また、コールゴムの場合は、引っ張ると幅が狭くなってしまいますが、編みタイプの場合は、全伸長まで引っ張っても、幅は変わりません。また、糸素材は、ナイロン糸、ポリエステル糸のどちらでも製作可能です。
カラー展開は、生成色の1色です。ただし染色すれば、どのような色でもできます。
サイズは、5ミリ~8ミリ幅程度が一般的です。
マスクゴムの場合は基本的に受注生産となります。
ボタンホールゴム(編ゴムタイプ)
ボタンホールゴム(編ゴムタイプ)は、編機によって製作されるボタンホールのある編ゴムです。
特徴としては、薄くて速乾性があることです。
また、織タイプのボタンホールゴムは、中央部で折り曲げて製作するので、経方向に折れ曲がりやすいですが、編タイプのボタンホールゴムは、平らな状態で編んで生産するので、中央で折れ曲がり難いです。
用途としては、ボタンを使ってサイズ調整が可能な平ゴムなので、特に、衣料用としては、マタニティ(妊婦用の衣服)、ベビー服、子供服などのウエスト部分に使用されます。
パジャマゴム(編ゴムタイプ)
パジャマゴム(編ゴムタイプ)は、編機によって製作される伸びが大きくてソフトなパワーの編ゴムです。
特徴としては、薄くて速乾性があることです。
用途としては、特に、衣料用としては、パジャマ、ナイトウエア、ライトなウエア、子供服などのウエスト部分に使用されます。
ウエストに総ゴムで使用する場合は、重ね部分は、全幅にてしっかりと返し縫いをしてください。(「Z」の文字のように)
メッシュゴム(ネットテープ)
メッシュゴム(ネットテープ)は、編ゴムの特性を活かして、通気性を最重点に考慮して製作した編ゴムテープです。
見た目からガーゼのように粗い目で編まれたデザイン性のある編ゴムです。
ポリエステルカラー編ゴム
ポリエステルカラー編ゴムは、編ゴムの特性を活かして、通気性を考慮して製作したカラー編ゴムです。
15ミリ幅、20ミリ幅、25ミリ幅、30ミリ幅の4サイズで、全12色のカラー展開で、30m巻仕立で、1巻単位で販売しています。
ポリウレタン弾性糸にウーリーナイロン糸を巻き、少ないフィラメント数のナイロンフィラメント糸を緯糸として使用して大きめのループを描くように編みこんでいます。
最大の特徴は、厚みの薄さと包帯のように、向こうの景色が、透けて見えるくらいの大きな編み目による通気性の良さです。
そのため、速乾性に優れています。
極薄の生地や、それほどパワーを必要としない薄手の生地を使用した洋服の袖口などに使用される場合が多いです。
シャーリングテープ(shirring tape:洋裁で,細かいギャザーを寄せて模様や変化を出すこと)としての用途で多く使用されます。
TSシリーズ:極薄で細幅から普通幅までの編ゴム
TSシリーズは、厚みが約0.75ミリと極薄の編ゴムです。
幅は、3ミリ、5ミリ、7ミリ、8ミリ、10ミリ、15ミリ、20ミリ、25ミリ、30ミリ幅です。
全伸長は、約2.4倍と伸びも大きいです。
素材は、ナイロン / ポリウレタン です。
薄手の生地の袖口やウエストにインゴムとして使用可能で、極薄なので当たりのない感じで使用可能な平ゴムです。
ロットが大きい場合は、お好みのカラーに染色が可能です。
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この記事は、㈲津田産業直販部社員で、セミリタイアおじさんの越野勤が書きました。
越野勤(こしのつとむ)は、石川県かほく市にある1935年創業で88年の歴史のゴム紐製造販売の有限会社津田産業直販部(かほく支店)の営業部長・問合せ担当で、サイト運営者・著者・ゴム紐の権威、専門家・ゴムプロ:gomuproです。
年齢は66才です。(2024年現在)
1980年に信州大学繊維学部繊維工学科卒業で、大学時代の4年間は、糸や繊維、ゴム紐、織物・編物・製紐・染色・プリントの勉強をしました。広幅織物製造工場で、撚糸、整経、製織等。細幅織ゴム、編ゴム製造工場でカバーリング、生産、染色、品質管理、生産管理、在庫管理の作業等。製紐工場で製紐を学び、営業、インターネット販売をするなど、約55年間ずっと、繊維業界で企画・製造・販売・マーケティング(販促)の仕事を経験してきました。
現在、㈲津田産業直販部でゴム紐の企画、製造販売、マーケティングを担当しています。(約5年間)
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