レーヨンとは?
レーヨン(rayon)は、世界で最初に作られた化学繊維(かがくせんい)です。
レーヨンを「レイヨン」と言われる場合もあるようです。
レーヨンは、セルロースと呼ばれる植物の繊維から作られます。
具体的には、レーヨンは、木材パルプなどの天然原料を薬品加工して作られる、再生繊維(さいせいせんい)です。
加工処理で自然に還元できます。
スフ、人絹という呼び名について
ステープルにした短繊維のレーヨンは、ステープル・ファイバーから、それを略して、スフとも呼ばれていました。
絹に似せて作った再生繊維で、人絹(じんけん)(人造絹糸)と、昔は呼ばれていました。
(成分は、綿や麻と同じセルロース(繊維素)で構成されていますので、土中で自然に分解され土に還るエコロジー繊維です。)
レーヨン繊維開発の歴史
1884年にフランスのシャルドンネ伯が、硝酸セルロースを作ったのが始まりです。
ただ、硝酸セルロースは燃えやすい危険なものでした。
1905年に、イギリスのコートルズ社からビスコース法によるレーヨンが生産されました。
レーヨンの製法は?
木材パルプやコットンリンターなどのセルロース部分を水酸化ナトリウムなどでアルカリ処理して、ビスコースにして、凝固液の中に押し出して紡糸します。(湿式紡糸)
そのため、特に、ビスコースレーヨンとも呼ばれています。
凝固液に紡糸された糸は、外側は、凝固液により急速に凝固が進み、内側はゆっくりと進むため、表面層(スキン)と内層(コア)では構造が異なり、物性・染色性が違います。
レーヨンは、光沢のあるのが特長で、キュプラ(ベンベルグ)もレーヨンの仲間(銅アンモニアレーヨンの一種)です。
レーヨン繊維は、熱可塑性繊維ではないので、高熱で融けず、高温の場合(綿や麻のように)燃えてしまいます。
レーヨンの英語表記は?
レーヨンの英語表記は、rayonです。
レーヨン繊維の比重、水分率は?
比重:1.50~1.52
水分率:12.0~14.0%
レーヨンの語源、由来、意味は?
レーヨン(rayon)の名前の由来は、「光線(英: ray)」と「綿(英: cotton)」 を組み合わせた言葉であり、他には、フランス語で「光るもの」という意味もあります。
スフとは?
特にビスコース・レーヨンの人造短繊維(通常2吋の長さ 約5cm程度)は、ステープル・ファイバーからスフとも呼ばれます。
現在では、スパンレーヨンと呼ばれます。
スフの英語表記は?
スフを英語表記すると、staple fiber となります。
レーヨン繊維の特徴
吸湿性・放湿性がある(化学繊維の中では最も大きく、綿よりも優れている)
独特の光沢感があり、ドレープ性にも優れている
熱軟化・熱溶融しない
焼却した場合、有害物質の発生がほとんどない
摩擦に強い
よく染まる(直接染料・反応染料によく染まり、深みのある鮮明色が得られる)
制電性に優れている(摩擦制電性は、綿の1/3、ナイロン、ポリエステルの1/10で、帯電しても静電気が早く逃げる)
擦れると摩擦で白色化しやすい
水で縮みやすく、シワになりやすい(膨潤収縮)
水濡れに弱い(強度が三分の一に低下する)
土に還すことができる
レーヨン繊維のデメリットについて
レーヨン繊維は、洗濯機と相性が悪く、耐久性が弱いため傷みやすいというデメリットもあります。
洗濯機で洗う時は、激しい水流で叩きつけて洗うと、すぐに質感が落ちてしまうので、手洗いまたは、洗濯ネットに入れて「おしゃれ着洗濯」などの機能を使用するなどの対策が必要です。
レーヨン繊維の用途
衣料用(ブラウス、婦人・子供服地、和装小物、高級な裏地、婦人肌着)
インテリア・寝装用(カーテン・椅子張り、壁紙、襖紙、寝具)
産業用(組ひも・平ゴム・丸ゴム等、レザー基布、粘着テープ基布、フィルター)
その他(ウェットテッシュ、ワイパー、化粧用パフ、フェイスマスク、包装紙、手芸糸、風呂敷、パップ剤基布、防草剤(マルチシート))
50年以上くらい前では、上タックで使用する糸はレーヨンが多かったです。
50年以上前は、上タックに使用する糸のほとんどは、レーヨンでした。(レーヨン糸は、独特の光沢がありきれいです。)
現在では、上タックと言えば、ほとんどの製品が、エステル上タックとなり、低コストで汎用性のあるポリエステル糸を使用しています。
再生繊維(さいせいせんい)とは?
再生繊維(さいせいせんい)は、天然高分子化合物を原料に、植物繊維のセルロース部分を薬品に溶解し、再度繊維に紡糸したものです。
セルロースを再生するので、再生セルロース繊維とも呼ばれます。
繊維素系の再生繊維には、レーヨンやキュプラ、ポリノジック、リヨセルなどがあります。
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この記事は、㈲津田産業直販部社員で、セミリタイアおじさんの越野勤が書きました。
越野勤(こしのつとむ)は、石川県かほく市にある1935年創業で88年の歴史のゴム紐製造販売の有限会社津田産業直販部(かほく支店)の営業部長・問合せ担当で、サイト運営者・著者・ゴム紐の権威、専門家・ゴムプロ:gomuproです。
年齢は66才です。(2024年現在)
1980年に信州大学繊維学部繊維工学科卒業で、大学時代の4年間は、糸や繊維、ゴム紐、織物・編物・製紐・染色・プリントの勉強をしました。広幅織物製造工場で、撚糸、整経、製織等。細幅織ゴム、編ゴム製造工場でカバーリング、生産、染色、品質管理、生産管理、在庫管理の作業等。製紐工場で製紐を学び、営業、インターネット販売をするなど、約55年間ずっと、繊維業界で企画・製造・販売・マーケティング(販促)の仕事を経験してきました。
現在、㈲津田産業直販部でゴム紐の企画、製造販売、マーケティングを担当しています。(約5年間)
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