ポリ乳酸繊維(polylactic acid fiber)について説明します。

ポリ乳酸繊維とは?

ポリ乳酸繊維とは、プラスチックの一種であるポリ乳酸PLA)から作られた合成繊維です。

PLAポリ乳酸)とは、トウモロコシジャガイモなどに含まれるデンプンを原料とした植物由来の生分解性プラスチックです。

通常の環境下では長期間の使用が可能です。

ポリ乳酸繊維は、コンポストや土の中で微生物によって3年程度かけてゆっくりと生分解され、最終的に水と二酸化炭素になります。

水分の多い高温多湿の堆肥の中で分解が促進されます。

簡単に言うと、

ポリ乳酸繊維は、植物由来のため、二酸化炭素の削減に貢献(カーボンニュートラル)し、生分解性で土に還る、循環性のあるサスティナブル素材です。

ポリ乳酸繊維は、一般的な樹脂材料とは異なり、原料が石油ではありません。

ポリ乳酸繊維の製法は?

トウモロコシやサトウキビ、ジャガイモなどの植物を砕いて、デンプンを取り出します。

デンプンを酵素で分解して、(ブドウ糖などの)糖を取り出します。

糖を乳酸菌で発酵させて、乳酸を作ります。

乳酸を重合(結合)させてポリ乳酸を作ります。

高温で溶かしたポリ乳酸のポリマーは、溶融紡糸ポリ乳酸繊維となります。

ポリ乳酸繊維の読み方は?

ポリ乳酸繊維の読み方は、「ぽりにゅうさんせんい」です。

ポリ乳酸繊維の英語表記は?

ポリ乳酸繊維の英語表記は、polylactic acid fiber です。

ポリ乳酸繊維の英語での略称は、「PLA」です。

ポリ乳酸繊維の化学式は?

ポリ乳酸繊維化学式は、( C3H4O2 )n  です。

ポリ乳酸繊維の構造式は?

ポリ乳酸繊維の構造式

上の画像は、ポリ乳酸繊維構造式です。(大学受験の王道のサイトより引用しました)

-CO-O- の部分がエステル結合を表しています。

ポリ乳酸繊維の特徴は?

トウモロコシなどの植物由来の乳酸を原料としているため、カーボンニュートラルである
焼却時の燃焼熱が低く、土中に埋めると自然に微生物によって分解される生分解性がある
光沢性や抗菌性・防炎性などを兼ね備えている
透明性が高く、剛性および引っ張り強度も高い
環境中での水分により加水分解を受け、低分子化し、土中や水中の微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される
融点が約170℃と融点が低い脂肪族ポリエステル繊維で、一般的には熱収縮率が高い
分散染料によってポリエステル繊維よりも低温(100∼110℃)で染色が可能である
高い耐摩耗性がある

ポリ乳酸(繊維)の用途は?

衣料品

食品包装容器、精密部品、コンパウンド原料など

農業用品農業資材のフィルムやシート、マルチシート、ハウス用フィルム、レジ袋、紐などに使用されています。

不織布、フィルター

外科手術時の包帯、ステリルな包装材料(医療用)

ポリ乳酸(PLA)繊維の主な課題と改善策

1. 耐熱性・熱収縮の改善

  • 課題: 融点が約170℃と低いため、アイロンがけや乾燥機の熱に弱く、加工時や洗濯時に縮みやすい。

  • 改善策(ステレオコンプレックス化): 分子構造が鏡写しの関係にある「L体」と「D体」という2つのポリ乳酸を精密にブレンドすることで、結晶構造を劇的に強固にする技術です。これにより、融点を約230℃まで引き上げることが可能になり、一般的なポリエステルに近い耐熱性を実現できます。また、ポリエステルや綿などの他繊維と混紡することでも熱への耐性を補っています。

2. 脆さ(耐衝撃性)と柔軟性の改善

  • 課題: プラスチックとしての剛性が高いため、繊維にしたときにゴワつきやすく、引っ張りや衝撃で破断しやすい。

  • 改善策(柔軟性バイオプラスチックのブレンド): 近年では、微生物が作り出すしなやかな次世代バイオプラスチック(LAHBなど)を微量ブレンドする技術が注目されています。これにより、ポリ乳酸本来の透明性を損なうことなく、千切れにくさ(強靭性)や破断時の伸びを大幅に向上させることができます。

3. 生分解条件のコントロール

  • 課題: 「土に還る」と言っても、基本的にはコンポストのような高温多湿(約60℃)の環境が必要で、通常の冷たい土壌や海洋では分解に数年以上の長い時間がかかる。

  • 改善策(分解促進剤・複合化): 常温の土壌や海水中でも速やかに分解が始まるよう、生分解を助けるアクセラレーター(促進剤)を配合したり、海洋分解性の高い他の素材と組み合わせたりすることで、使用中は長持ちし、自然界に流出した際には素早く分解されるようコントロールする研究が進んでいます。

4. コスト面の改善

  • 課題: 石油由来の合成繊維(ポリエステルやナイロンなど)に比べて普及率が低く、製造コストが割高。

  • 改善策(量産技術の革新): トウモロコシなどの可食植物に頼らず、CO₂や植物の非食用部分から直接プラスチック原料を合成する効率的な触媒・微生物育種技術の開発が進んでいます。これにより、大量生産によるコスト削減が期待されています。

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