ゴム紐を生産する時に発生する静電気についてゴム紐の専門家が説明します

静電気とは?

静電気とは、物体に蓄えられた電荷や、その電荷によって引き起こされる現象のことです。

日本では秋から冬にかけて、乾燥すると、静電気が発生しやすくなります。

静電気と言えば、乾燥した部屋でドアノブを触ったときにパチッとくる電撃や、暗闇でセーターを脱ぐと青白い放電が見られる現象をイメージしますが、コンセントから流れてくる「電気」とはどう違うのでしょうか。

静電気はコンセントを流れる電気(動電気)と違い、一カ所にとどまっている電気(電荷)のことを指します。

水に例えると、コンセントを流れる電気のイメージはで、静電気のイメージはダムと言えば分かりやすいでしょうか。
この溜まった電気(水)が、電気(水)を流す物体(導体)に触れた時に一気に流れ出すことを放電といいます。

この現象を静電気放電(ESD=Electro-Static Discharge)と言います。

一般的に静電気は、電圧が高いが電流が非常に小さい場合が多いです。

静電気の読み方は?

静電気の読み方は、「せいでんき」です。

ゴム紐(ゴムひも)を生産する時の静電気について説明します

なぜ、ゴム紐の生産時に静電気が起きるのでしょうか?

ゴム紐の生産時には、織機や編機上で糸と糸が高速で触れ合います。

その際に、乾燥した時期には、(ポリエステルとナイロンの交織の時など)糸の摩擦によって静電気が発生します。

その静電気によって、糸がフィラメント割れを起こして、そのフィラメントが互いに絡み合って綿状になり、生産不能となってしまう場合があります。

静電気を除去すれば、上記の問題は解決して、快適に生産できます。)

北陸地方は、日本国内の中では、地域的に曇天率が高く、どちらかというと湿度も高い日が多いです。

一般的に、湿度が高いと、糸に水蒸気が付着して電気を流してくれるので、静電気は発生しにくいです。

それでも、ゴム紐を生産する場合は、2種類以上の繊維が擦れあうので、時には静電気が発生して製織しにくい事があります。

また、近年は、工場内で暖房や冷房時にエアコンを使用するため、湿度が低くなる傾向があります。

ゴム紐生産時に静電気が起きないようにするためには?

その静電気を、少しでも改善するために、(静電気を流すために)糸に界面活性剤入りの液体(帯電防止剤)をコーティングしたり、高電圧の除電バーを付けたり、加湿器を使用して、加湿したりします。

制電糸(導電性のある糸)を使用するという方法もあります。

また、交織したり、DCYに使用する糸を選定する場合に、できるだけ帯電性の同じような糸を使用するという方法もあります。

冬季や春季などの乾燥する時期は、車の座席に乗っていて、洋服と座席のシートカバーの繊維が擦れ合って人間が帯電して、(降りるときに)車のドアノブに触れて、静電気が流れて感電するということがあります。

(一応)繊維製品の選定によって緩和させることも(理論的には)可能なんです。

(注:参考)帯電列(上部は、+に帯電しやすく、下部は、-に帯電しやすい)

帯電列(たいでんれつ、Triboelectric series)とは、2種類の材質を摩擦した時に、+側に帯電しやすい材質を上位に-側に帯電しやすいものを下位に並べた序列の表です。

帯電列の列の離れた場所に位置するもの同士を擦ると強い静電気が起きます。

プラス(+)に帯電しやすい
人毛・毛皮
羊毛
ナイロン
レーヨン

綿

ガラス繊維
アセテート
紙繊維
天然ゴム
ポリプロピレン
ポリエステル
ポリウレタン
アクリル
ポリエチレン
セロファン
塩化ビニル
マイナス(-)に帯電しやすい

帯電列では、離れていればいるほど、2種類の糸が擦れあうと、静電気が発生しやすく、発生する静電気の電位も高いです。

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    この記事は、㈲津田産業直販部社員で、セミリタイアおじさんの越野勤が書きました。